個人の考え、個性について、管理職がどう個性と組織の折り合いをつけて、どう運営するのか、そのマネジメント術についてお話します。
近年のITによる働き方改革、ワークスタイルの変革が進み、素早い意思決定や環境変化の激しい状況に柔軟に対応することが企業に求められています。
これまでの日本の会社組織は、上意下達のトップダウン、ピラミッド型が一般的でした。
もはや、従来型の組織形態や考え方では、立ち行かなくなってきてると言われてますが、本当にそうでしょうか?
管理職として、会社が目指す目標は達成しなければならないけど、その方向性と合わない個性の強い部下に困っている。
ピラミッド型の組織はもう古いのか?部下のやりがい、個性に任せていればいいのかな?
IT業界歴25年、最大時は150名の部下を率いて、組織を運営してきた経験から、筆者がその疑問にお答えします。
結論から言うと、
個性(個人)を極力尊重しながらも、組織が求めている仕事を担保するために、
その微妙なバランスをコントロールすることが管理職に求められています。
組織(会社)の目標に向かって、管理職が指導力を活かして、個人(人)の個性を大事にしつつ、
個人に伸びのびと仕事をしてもらい、
個性を締めるところはしめて、バランスよくコントロールすることが重要だと考えています。
今回は、個人と組織のマネジメント術における、上司の責任と業務命令の重みについて話してみたいと思います。
個人と組織の方向性にはズレが出る
個人と組織の問題は、しばしばその方向性で矛盾が発生します。
会社としての目的、目指す目標と、個人としてやりたいことは必ずしも一致しないことがあります。
組織会社としては、個性を持った、より尖った人材を有効活用して成果を最大化したい。
個人は、目指すキャリア、自己実現、自分が興味があること、やりがいを感じる仕事がしたい。
しかし、現実問題として、個人が好きなことだけをやっていてはビジネスとしては成り立ちません。
どうしても、個人の指向と会社が求めるものにはおのずとズレが生じてくるのです。
どうしたら、お互いがWIN-WINになれるか?
個性を主張する部下
私が経験したことをお話すると、
私の意見に従わない部下がいました。仕事のやり方に対する意見の相違があったのです。
問題の部下を諭すために、その部下と話し合いをした時の状況をお話します。
私は、問題の部下を会議室に呼び出し、彼に日ごろの業務に対する貢献と実績に感謝を伝え、彼の考えや主張に全て耳を傾け、彼を受け止めました。
その部下が話し終えた後、私は最終的には「上長である私の指示に従うように」と指導しましたが、彼は納得できない様子でした。
彼の価値観は、「褒められたり」、「承認される欲求を満たされること」よりも、
むしろ自分の個性を発揮して、「技術的に自分が正しいと思うこと」を貫き通すところにありました。
その時、私はその部下に言いました。
「仕事のやり方なんて、現実問題として何が正しいかなんて、実際やってみないとわからないところがある。」
「あなたが実行する仕事の結果に責任を取るのは、上長である自分しかいない、部下であるあなたに責任は取れない。」
「責任は全部上司である私が取るのだから、最終的な判断は私がする」と、その部下に伝えました。
すると、彼は私の説明にようやく納得し、「今後は意見しても、最終的には上司の判断に従う」ことを約束してくれました。
上司の責任と業務命令の重み
最近は、自由に意見が言える、風通しの良い職場が先進的な会社だと思われがちですが、
必ずしも私はそうは思いません。
人にはいろいろな個性があるし、確かに様々な意見を言い合えるのは大事なことですが、行き過ぎは問題です。
ましてや指揮命令系統を乱すことなどあり得ない、組織に属しているのだから業務命令は絶対遵守です。
会社がピラミッド組織である以上、業務命令に従うのは部下として当然のことです。
その中で、個人の裁量を活かして、存分に個性を発揮して活躍して欲しい。
組織からの信頼感があっての個性
たまに、個性という言葉の意味を履き違えていることがあります。
個性とは相手が認めて、初めて個性として成立するものです。
組織の中では、個性は固有の権利ではありません。
複数の人間が集まり目的を共有する組織において、個人の主義主張を押しつけること自体がナンセンスです。
個性を活かすためには、どうすれば組織(上司)が自分の思うように動いてくれるのか?を考えることです。
大事なことは、個性を発揮したければ、上司(組織)からの信頼感を勝ち取ることを重要で、
単に個性を主張することではないはずです。
それができないなら、個人で会社をおこして、フリーランスで自由にやればいい話です。
そんな当たり前のことが、最近理解されてない風潮を感じる、と思う私は古いのでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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