結論から言うと、IT業界で安定性を求めるなら、ユーザー系SIerはイチオシです。
上流工程がメイン、福利厚生が大企業並み、給与水準もわるくない、などなど
しかし、ユーザー系SIerにもわるいところはあります。
総じて言えることは、安定性においてユーザー系SIerはベターな選択なのですが、
あなたの価値観、人によって向き不向きがありますので、そこのとろこをよく理解して、検討してもらえればと思います。
IT業界に就職、転職を考えているが、ユーザー系SIerってどうなんだろ?
会社の業務内容とその雰囲気を知りたい。
安定した職場環境で落ち着いて、ITのスキルを身につけたいなあ。
そんな疑問にお答えします。
私は、IT業界25年。経験してきた会社は3社、そのすべてがユーザー系SIerでした。
今回はその経験からお話します。
IT業界においてユーザー系SIerは安定性抜群、イチオシです!
ユーザー系SIerとは?
大手企業の情報システム部門や機能を分社化・移転して設立したIT子会社です。
別名、「ユーザー系情報システム子会社」とか、「システム子会社」、「情報子会社」、または通称「ユー子」と呼んだりします。
ここでは、「ユーザー系SIer」で統一します。
ユーザー系SIerは、親会社の業務と情報技術(IT)に精通したIT企業です。
親会社とは、銀行、生保、損保、証券、商社、製造などの大手企業です。
例えば、三菱東京UFJ、日本生命、東京海上日動、伊藤忠、新日鉄などです。
ユーザー系SIerの業務内容
ユーザー系SIerは、主に親会社及びグループ企業のシステム構築運用を行う会社です。
親会社から仕事を受注し、上流工程から担当して、下請けに下流工程を発注し、進捗管理をするのが役割です。
親会社の業態によりますが、主にインフラ担当、アプリケーションシステム担当に分かれます。
- アプリケーション担当
⇒業務システムの開発、維持管理 - インフラ担当
⇒サーバ、ネットワークなどの構築、運用
アプリケーション担当は、社内/グループ内で使用する各種アプリケーションの開発、追加開発、運用、保守する仕事です。
インフラ担当は、サーバやネットワークの設計構築とその運用をする仕事です。インフラ担当が作ったサーバやネットワークの基盤の上に、アプリケーションが稼働します。
ユーザー系SIerは、日本特有の業態
親会社から見て、子会社であるユーザー系SIerは、以下の期待効果を目的とされています。
- 親会社の経営管理体制の効率化に伴う肥大化した情報システム部門の分社化
- 人件費や固定費を含むITコストの徹底管理をするコストセンター
- 親会社グループの成長エンジンとなり得る独立したプロフィットセンター
- 親会社の役職定年者に対する社内ポスト不足への対応
コストセンターとは、
ITコストを低減するための存在です。
コストセンター路線を維持しており外販を行っていない会社で、今はこのケースが多いです。
プロフィットセンターとは、
一般市場におけるITソリューション事業を行います。昔流行ましたが、成功した企業はごく一握りです。今は少ないケースです。
ユーザー系SIerは、日本独自の企業形態として知られており、欧米企業は本社IT部門だけが存在しており、ユーザー系SIerは存在しません。
私の体験談
私はこの25年間、常に仕事が忙しかったです。
これまで、バブル崩壊、リーマンショック、東日本大震災などで景気動向に浮き沈みがありましたが、仕事で暇になったことがないです。
親会社の状態にもよるのでしょうが、世の中のIT需要が多く、ITは慢性的に人手不足なので、仕事が途切れたことがない25年間でした。
上流工程を経験
ユーザー系SIerでは若い頃はプログラミングなど下流工程を経験し、中堅レベル以降になるとプロマネを中心に活動します。
常に上流工程を経験することが多いです。
メーカー系、独立系のエンジニアと互角に渡り合うため、ITイベントに参加し見聞を広めたり、社外研修に積極的に参加します。
常に技術習得、トレンド研究に余念がありません。大手メーカー系からの売り込みにも対応するなど忙しい日々を過ごしています。
独立系のSIerではほとんど経験することが困難な上流工程をバンバン経験できるのは、ユーザー系SIerの強みです。
モチベーションにバラツキ
しかし、いいことばかりではなく、悪い面もあります。
まず悪いところは、最大のメリットである安定性です。
もともと、ほとんどの人が安定を求めてユーザー系SIerに入社してくるので、安定志向の人が自然と多くなります。
常に安定して仕事があるから、ますます社員が安定志向になり、変化を嫌う傾向になりやすいです。
何か新しいことを成し遂げようとするときは、必ず進化するために「変化」が求められますが、その変化に対する社員のモチベーションにバラツキが出ます。
使命感を持って挑戦する社員、ただ傍観して長いものに巻かれる、身を任せる受け身の社員、とにかく変化に抵抗する勢力などなど。
仕事で実績を上げても、上げなくても、社員は安定した待遇、処遇を保証されています。
だから、よけいにやる気のある社員とやる気のない社員とで、モチベーションの違いとなって表われてきます。
そうなると、一生懸命やっている自分のやる気がときどき凹んでくるときがあります。
自分が30歳代後半のある時、部長に承認印をもらいに行った時のことです。
その部長が将棋ゲームをしていたのには、びっくりしました。
他の役員は朝から新聞を読んでいたり、喫茶室へお茶しに行ったりしていたのを見かけたりして、まじかと思うときも・・・
その後、その会社は辞めて、別のユーザー系SIerに転職しましたが・・・
やる気はその人しだい
全ての会社がそうとうはいいませんが、親会社に頼っている甘えの体質があるのは事実です。
でも、これも個人しだいです。その人にやる気と自覚があれば、そんな甘え体質に染まらなければいいだけの話です。
どうしても嫌なら、実力付けて転職すればいいのです。
事実、マイクロソフトや、日立、富士通に転職していった同僚もいましたから。
私はその中で、やる気を常に奮い立たせて仕事するよう自分を律していました。
その会社の処遇、待遇がよければ、それなりに優秀な社員が集まります。
それだけのことだと思います。
研修制度が充実
これまで、海外研修は4回行きました。
米国 10日間
米国 4日間
中国 3日間
スペイン 5日間
ユーザー系SIerだと、その性質上ベンダーからの招待や、仕様どおりに動かないソフトウエアの改善を、直接米国本社へ要望しに行ったこともあります。
ユーザー系SIerは、自分たちで作ったシステムを、作ったら終わりではなく、自分たちで維持管理していく。
問題が発生すれば、場合によっては、海外に乗り込んでまで問題解決するのが、ユーザー系SIerです。
給与水準、収入
ユーザー系SIerの給与水準、収入は、IT業界では高いレベルです。私は40代で年収1,000万円を超えました。
仕事が安定いていて、課長職以上に昇格できれば、会社によりますがそれくらいの報酬は得られると思います。
次回は、ユーザー系SIerのメリット、デメリットについて、もっと詳しく実体験を交えて解説します。
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最後まで、お読みいただきありがとうございました。